意見文・スピーチ原稿失敗例


 夏休みの課題として出されることが多い「意見文」の書き方を、ワークシート形式にしてまとめたものをダウンロード販売します。

 ワークシートの空欄を埋めていけば、原稿用紙2枚程度の意見文が完成するはずです。

 興味のある方はこちらへどうぞ。


 秋の文化祭の発表に向けて、夏休みの課題に意見文やスピーチの原稿を書かせる学校が多いようです。

 テーマがあらかじめ示される場合もありますが、何をどう書いたら良いか困っている人はいませんか?また、テーマが示されない場合は、テーマを選ぶことから始めなくてはいけませんね。 

 しかし、高校入試につきものの「志願理由書」や「作文」で、相手を納得させる文章を書くことは、合格するための大きな一歩となります。また、筆者の考えをふまえ「自分の考えを○○字以内で書く」問題も、これからはどんどん増えてくるでしょう。

 「いやだ」「面倒くさい」と思わず、高校入試の練習だと思って取り組みましょう。 

 自分の意見や考えを論述する問題は、読解問題の記述問題とは異なり正解はありません。また、内容が立派であったり誰も考えつかないような素晴らしい意見であったりする必要もありません。それよりも大切なことは「素早く、ミスなくマスを埋めること」です。

 これは夏休みの課題も同じことです。意見文のために膨大な時間をかけるのはお薦めできません。そんな暇があったら、他にやらなくてはならない勉強がいくらでもあるはずです。

    それでは、素早く、ミスなく、減点されずにマスを埋めるために必要な勉強を進めていきましょう。

一分間スピーチは約300字

 意見文としてあらかじめ文字数(原稿用紙の枚数)が決まっているならよいのですが、「スピーチの原稿」の場合、どのくらいの文字数で書いたらよいのでしょう。

 NHKのアナウンサーの場合は、1分間300字(原稿用紙2/3)と言われています。これより多くすると、早口になって聴き取りにくくなるのです。1分間300字というのが、実際に抑揚や間を取りながら声に出して読むのにちょうどよい分量なのです。

 3分間スピーチなら900字。原稿用紙2枚と1/4ですね。

失敗しやすいテーマ

 最初からテーマが決まっている場合は良いのですが、自由なテーマで書け、といわれると困ってしまいますね。実は、作文の善し悪しはテーマによって決まってしまう、と言っても過言ではありません。

 「素早く、ミスなくマスを埋める」ために、次のような失敗しやすいテーマを選ばないようにしましょう。

誤った論理を展開している

 「割り箸は地球環境を破壊する」「学校でのペットボトル集めは地球環境に優しい」などです。

 割り箸は外国の間伐材で作られているため、逆に森林保護に役立っている、というのが現在の考え方のようです。またアルミ缶やペットボトル回収は別に学校で集めなくても各家庭でリサイクルのごみに出せば地球に優しいことにかわりはありません。最近話題のプラスチックゴミが環境を汚染しているというのは事実かも知れませんが、学校でペットボトル集めをすれば少しでも改善するでしょうか。

 まず、自分の意見の根拠となるデータは正しいものでなくてはいけません。自分が「そうだ」と思いこんでいたり、世の中でそう思われたりしていても、それが本当かどうかしっかり調べなくてはいけません。特にネット情報はその半分以上が「正しいとはいえない」ものだと言われています。

 自分が「正しい」と思ってもしっかり調べましょう。ネットで検索するときは、反対意見も同時に検索してみましょう。

 そして、事例から結論に導く論理が正しく流れているか、独りよがりになっていないか、しっかり確かめながら論を展開するように気をつけましょう。

話が大きすぎる

 「地球温暖化は人類の二酸化炭素排出が原因である」「原子力発電は即時廃止すべきだ」などです。

   これらには賛成意見と反対意見が既に出そろっていて、現在は結論が出ていません。あなたが賛成・反対どちらの立場に立つかは自由ですが、あなたが挙げることができる事例はネットの情報くらいしかないはずです。その限られた(偏った)情報から、それぞれの意見を比較し、何が正しいのか客観的に判断し、あなたに対する反対意見を押さえこむのは至難のわざとなります。

 集めた資料を丸写しにして、それを自分で考えたことのように言うことは恥であり、場合によっては犯罪となります。

 ですからみなさんには、あくまでも身近な事例で説明できるテーマにすることをおすすめします。どんなに立派に反対派の意見を論破しても「…で、中学生であるあなたに何ができるの?」と実行力を問われ、場合によっては、「評論家」とか「口だけ大王」と思われてしまいます。

誰も反対できない

 中学生が最も陥りやすいテーマです。例えば「あいさつは大切」「いじめはいけない」というものです。

   「いじめをすることはいけないことですか」と問いかけたとして、誰も「ノー」と人前で言い切ることはできません。つまり、このテーマは「相手の反論を押さえつける必要がない」無敵状態になります。全員があなたの意見に賛成してくれる問題というのは、言い方をかえれば「あなたの意見は特別なものではなく、あなたがわざわざ意見文にして提出する必要のないものだよ」ということなのです。

 このような、誰も反対できないテーマの文章を、読み手に印象づけるには「どこかで聞いたことがある」ような話ではなく「誰も経験したことも聞いたこともないような、あなただけの、聞き手にとって衝撃的な経験」を事例にすえなくてはいけません。人権がらみの意見文などがよい例ですね。

 普通の中学生が普通に生活している中で、このような衝撃的な発見することこそ、その人の「問題発見能力」として評価されまが、とても難しいことだと思います。

部活あるあるネタ

 他に、中学生の失敗事例で目立つものは、「部活に入ると礼儀が身につく」というような部活ネタです。確かにその通りかもしれませんが、部活以外の生活場面で実際にそれが活かされていない人が書いても、何の説得力もありませんから注意してください。「粘り強さが身につく」「真剣に取り組むことができる」等も同じです。定期テストに向けて粘り強く真剣に勉強することができないような人は、このテーマで書いても失笑されるだけです。

 部活の顧問の先生のおっしゃる精神訓話のようなことを書いても同じです。部活の先生がおっしゃることは、あなただけではなく、たくさんの人が聞いたことのある話です。「部活の先生の話をパクリ」は、評価されませんし、顧問の先生も喜ぶとは思えません。