枕草子

 『枕草紙』は,平安時代の清少納言が書いた随筆です。教科書に載っている部分は,「春はあけぼの,夏は夜…」というように,それぞれの季節毎の最も趣き深い(をかし)時間帯が,具体的な様子とともに書かれています。

 短い文章ですので,テストで出題される問題は決まっています。しっかり対策をたて,高得点をねらいましょう。


「枕草子」の予習・復習、定期テスト対策のプリントをダウンロード販売します。

 興味のある方は下のボタンをクリックしてください。

練習問題・予想問題のみをまとめたものを別売します。(問題は、上の冊子と重複している場合があります。)

解説はいらない、問題集が欲しい、という方は、こちらがお安くなっております。

興味のある方は、下のボタンをクリックしてください。

「枕草子」高校入試レベルの問題を販売します。

教科書以外の「枕草子」や清少納言関連の高校入試過去問をもとに作成しました。

解答用紙、現代語訳、詳しい解説付き。

興味のある方は、下のボタンをクリックしてください。


基本問題

〇春はあけぼの~

現代仮名遣いに直す問題

・やうやう(ようよう) ・山ぎは(やまぎわ)

現代語に訳す問題

・山ぎは(空に近い山の部分)

〇夏は夜~

現代仮名遣いに直す問題

・なほ(なお) ・飛びちがひたる(とびちがいたる) ・をかし(おかし)

現代語に訳す問題

・月のころはさらなり(月の明るい夜は趣があるのは言うまでもない。)

・をかし(趣がある)

 ・(当然闇夜であるが)雨が降るのも趣がある。

〇秋は夕暮れ~

現代仮名遣いに直す問題

・飛びいそぐさへ(とびいそぐさえ) ・あはれ(情趣がある)

・はた言ふべきに(はたいうべきに) ・風の音,虫の音(かぜのおと,むしのね) 

現代語に訳す問題

・山の端(空の,山に接する部分)

・まいて(まして) ・いと(とても) ・日入り果てて(日がすっかり沈んでしまって)

・はた言ふべきにあらず(言うまでもないほど趣がある)

主語を答える問題

・飛びいそぐ→烏(字の形に注意。鳥と間違えて書かないこと。)

何と何を比べているか

 清少納言は「烏が寝床へ行く様子さえ情趣がある,ましてや,雁が列をなして飛んで行くのはとても趣深い」と烏と雁の飛ぶ様子を比べています。 

〇冬はつとめて~

現代語に訳す問題

・つとめて(早朝)

・はた言ふべきにもあらず(趣があることは当然で,わざわざ言う必要はない)

・さらでも(そうでなくても,雪や霜の美しさはみられなくても)

・つきづきし(急いで起こした炭火を持って通る様子が,寒い朝に似つかわしい)

・わろし(良くない,好ましくない)


「の」の使い方

 古文は,主語を示す「が」や「は」のかわりに「の」を使います。必ず出題されますから注意しましょう。

 見分け方は,現代語の「が」「は」「も」に置き換えることができるかどうか,です。紛らわしいものは,現代でも説が別れている場合がありますので,まず出題されないでしょう。出題されるものは以下のものと思われます。

<春>雲のほそくたなびきたる

<夏>蛍の多く飛びちがひがる

<秋>夕日のさして 烏の寝どころへ 雁などの

<冬>雪のふりたる 霜のいと白き


をかし

季節ごとの「をかし」

春の「をかし」

・日の出の頃。

  少しずつ山の稜線が白く明るくなる頃に,紫がかった雲が細くたなびいている様子。

夏の「をかし」

・夜。

  満月の頃の月夜と,新月の頃の闇夜。

    闇夜は,蛍がたくさん飛び交っている様子と,1~2匹ほのかに光りながら飛んでいく様子。

   (当然闇夜だが)雨の夜。

秋の「をかし」

・夕暮れ時。

・日没直前と日没後。

  日没直前に,雁などが連なって飛んでいるのが小さくみえる様子。(烏が飛んでいる様子でさえ「あはれ」である。)

  日没後は,風の音や虫の声。

冬の「をかし」

・早朝

  雪景色(←当然)と寒い朝。

  寒い朝は,霜が降りていようといまいと,関係ない。


清少納言と「をかし」

 清少納言の『枕草子』と言えば「をかし」の文学と言われています。一方,紫式部の『源氏物語』のアイコンは「あはれ」です。

 「をかし」と「あはれ」,清少納言はどう考えていたのでしょう。

 

 日本には昔から四季折々の美しいモノを尊ぶ風潮がありました。例えば「花鳥風月」とか「雪月花」と言われる日本古来の美意識です。これらは古くから歌に詠まれ,この日本古来の美意識=「もののあはれ」を理解することが,貴族のたしなみでした。

 

 しかし清少納言はどう思っていたのでしょう。『枕草子』では「月のころはさらなり(言うまでもない)」と,月をさらっと流し,月の出ていない夜や,雨の夜の良さを強調しています。そして「烏の寝どころへいく」のでさえ「あはれ」であり,ましてや雁の編隊飛行はとっても「をかし」と言っています。どうやら清少納言は「あはれ」よりも「をかし」の方がずっと良いと思っていたのではないでしょうか。

 冬の白い雪景色は「雪月花」と言われるように,やはり「あはれ」を感じさせるものなのでしょう。しかし清少納言は「雪景色は言うまでもないことです。雪でなくても,霜だって白いよ。白ければいいんじゃないんだよ。霜がなくても,冬は寒いからいいの!だからいかにも『寒い』っていう感じがする『炭もて渡る』風景が冬には似つかわしいんだよ。」と言っています。

 

 「雪月花」も「花鳥風月」も,目に見える四季の景色の美しさです。その中で感覚を磨いてきたのが「あはれ」なのでしょう。それに対し清少納言には,夏の「雨など降る」「風の音,虫の音」など,聴覚や嗅覚(雨が降るときは,雨に濡れる土の匂いがしますね)など,五感を駆使してそれぞれの季節を積極的に愉しもうという気持ちが感じられます。「あはれ」のような様式美ではなく,自分自身の感覚で美を求めた結果が「をかし」なのではないでしょうか。 

  「をかし」は、五感の中のどの感覚からくるものかを問う問題は,時々出題されますから,注意しましょう。


 清少納言と紫式部の関係についてまとめました。

 興味のある方は、下のボタンをクリックしてください。


コメント: 0