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いろは歌


これから三年間学習する古文のスタートです。

三年間の古文学習のゴールに待っているのは高校入試でしょう。高校入試では、以下の問題が出題されます。

  • 現代仮名遣いに直す
  • 古語の意味を答える
  • 主語を補う
  • 助詞等を補う
  • 会話文を問う
  • 主題や大意を問う
  • 説明的文章との関連問題

この高校入試につながる古文のスタートして「いろは歌」で特におさえたい内容は

  • 音読することを通して、古文は歴史的仮名遣いで書かれているが、読むときは現代仮名遣いに直して読まなくてはいけない。

ということです。この力をみるために「現代仮名遣いに直し、すべてひらがなで書け」という問題があります。

 また古語には、現代語ではもう使われなくなった語や、現代語で使っていても意味が違う語があることを強く意識しましょう。

音読しよう

いろはにほへと ちりぬるを
わかよたれそ つねならむ
うゐのおくやま けふこへて
あさきゆめみし ゑひもせす

 これを実際に読むときは、次のように読みます。

いろ にオエド、ちりぬるを

よ たれ、つねなら

の おくやま、キョウ

あさき ゆめみ、エイもせ

 アクセントやイントネーションをはっきり意識して音読すると、なんとなく意味がわかってくるような気がしますね。

  • 「は」はワと読みます……これは現代語と同じです。(古語の名残り)
  • 違う読み方をするものがあります。
  • 「ゐ」「ゑ」はイ、エと読みます。(ワ行音のイ音とエ音です 戦前まで使われていました)
  • 「けふ」は「今日(キョウ)」と読みます。

 しっかり暗唱しましょう。

意味を知ろう

 教科書の下にあるように、漢字仮名交じり文で書くと、更になんとなくわかりますね。

 しかし教科書の現代語訳だけでは、何を言っているのかわからない人も多いでしょう。

 「いろは歌」の細かな解釈は諸説があるので、教科書には載せられなかったのでしょう。

 ここで、簡単に説明します。

色はにほへど(色は匂うように美しく照り映えていても)

散りぬるを(いつか花は散ってしまう)

我が世たれぞ(私たち この世の誰が)

常ならむ(永久に変化しないでいることができようか)

有為の奥山(いろいろなことがある人生の深い山を)

今日越えて(今日も越えていくのだが)

浅き夢見じ(浅い夢など見ることはしない)

酔ひもせず(心を惑わされもしない)

 「色」は「色即是空」の「色」で、形あるもの、認識の対象となる物質的存在のことを言います。

 仏教では、万物の本質は実態のない空しいものであり(色即是空)、空であることがこの世のすべての事象を成立させる道理である(空即是色)と教えています。

 簡単にいうと「今匂うように咲き誇っている桜の花も、必ず散ってしまう定めにある」というような意味でしょう。

 

 ただし「色は」ではなく「色葉」であり、桜と紅葉のことを指しているという説もあります。

 「常」は恒常不変の「常」です。「常ならむ」とは、世の中のいったい何が変わらずに永久にいられることがあるだろうか、いや、ありはしない、ということです。

 「有為」は因縁によって起きる一切の事物のことです。世の中の全ての現象は因果関係によって成り立っています。

 複雑に絡み合って発生し、変化し続ける無常の現世を、どこまでも続く深山にたとえたものです。

 最後の二行は

有為の奥山今日越えて   (迷い多く悲しい奥山を越えて行こう)

浅き夢見じ酔いもせず   (人生の儚い栄華に酔わないように)

 

と訳すこともできます。

おまけ

 「金光明最勝王経音義』(こんこうみょうさいしょうおうきょうおんぎ)(承曆3、1079)という仏教の解説書の冒頭に「いろは歌」が載っています。

 

 この「いろは歌」は7音で区切られています。
いろはにほへ
ちりぬるをわ
よたれそつね
らむうゐのお
やまけふこえ
あさきゆめみ

 

ゑひもせ
 それぞれの行の下の文字だけを読むと
  • とかなくてしす(咎なくて死す)
つまり「罪がないまま死ぬ」となります。
 このことは昔から知られていて、江戸時代の国語辞書にも記されていたそうです。そのため、当時の学者には「忌まわしい言葉が含まれているのはよくない」「子どもの手習いには『あいうえお』を教えるべきで『いろは歌』を教えても良いことはない」と考える人もいました。
 『いろは歌』は作者不明ですが、この説に立つ場合は、藤原氏に左遷され憤死した菅原道真や刑死したとされる柿本人麻呂が作者ではないかと考える人もいるようです。

 
 平成25年度の全国学調国語B問題には「いろはかるた」の問題が出題されました。「いろはかるた」に関する説明的文章の読解問題です。

 機会があったらやってみましょう。


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